BLOG

ドローンで苗木を運搬。長野・松本の林業現場で人力片道1時間を往復8分に短縮【林野庁との実証】

目次

急峻な斜面や、林道から離れた植栽地。
苗木の運搬は、いまも多くの現場で人力に頼っています。

「担い手が足りない」「作業員の負担や労災リスクが大きい」。
その解決策として注目されているのが、ドローンによる苗木運搬です。

株式会社ASOLAB.(長野県松本市)は2026年6月、林野庁と共同で苗木運搬の実証実験を行いました。場所は谷間地形の現場です。

この記事では、その結果をもとに「自分の現場で使えるか」を判断するための情報を整理します。
メリットだけでなく、課題・法規制・導入の流れまで、林業事業者さま・自治体さま向けにまとめました。

こんな課題はありませんか?林業の苗木運搬の現場

造林地への苗木運搬は、特に林道から離れた急峻地・谷間地形で大きな負担になります。次のような悩みに心当たりがあれば、ドローン運搬の導入を検討する価値があります。

  • 十数kgの苗木を背負って斜面を登る作業の繰り返しで、作業員の身体的負担・労災リスクが大きい
  • 運搬要員の確保が難しく、植栽そのものに人手を回せない
  • 林業の担い手不足・高齢化が進み、省力化が急務になっている
  • 架線やクレーン、ヘリの活用はコストや地形の面で現実的でない

とりわけ山間地の多い長野県では、こうした運搬作業の省力化が地域全体の課題となっています。

ドローンによる苗木運搬とは?何が解決できるのか

ドローンによる苗木運搬とは、重量物に対応した産業用ドローンで、苗木や資材を空中輸送する方法です。

最大の特長は、地形の制約を受けないこと。
林道のない斜面や谷を越える区間でも、最短ルートで「運搬・配送」ができます。

運搬する苗木を入れた袋(実証で運んだ苗木)
実証で運搬した苗木。1袋50本入りを複数まとめて空輸した

解決できることを整理すると、次のとおりです。

  • 運搬時間の短縮:人力で長時間かかる区間を、数分単位で往復できる
  • 省力化・安全性向上:重い苗木を担いで斜面を登る作業がなくなり、作業員の負担と労災リスクを軽減できる
  • 少人数化:操縦者が荷を積み、現地で受け取る体制にすれば、運搬にかかる人数を抑えられる

では、実際の現場でどこまで使えるのか。次に、長野県松本市で行った実証の結果をご紹介します。

長野県松本市での実証で、人力片道1時間が往復約8分に

ASOLAB.は2026年6月17日、林野庁 中部森林管理局 中信森林管理署とともに実証実験を行いました。

場所は長野県松本市奈川の谷間地形(片道約1km)。
使用したのは、重量物運搬に対応するドローン「DJI FlyCart 30」です。

長野県松本市奈川の実証現場に並ぶDJI FlyCart 30と参加者
実証現場の様子(長野県松本市奈川)。林野庁とASOLAB.が共同で実施

■ 実証の概要

  • 区間:片道約1km・谷間地形(高低差ほぼなし)
  • 積載:苗木袋(50本入り)3袋・約26kg を、フレコンバッグにフックで懸吊して運搬
  • 運搬回数:計3回(苗木は合計500本・約80kg)
  • 天候:快晴・気温26℃・風速は手元で5m/s以内(飛行中は一時8m/s程度)

■ 結果

運搬は3回ともトラブルなく完了。1回あたりの所要時間は、往復で約8分でした。

同じ区間を人力で運ぶと、片道で約1時間かかるとされています。
ドローン運搬で、運搬時間を大幅に短縮できることが確認できました。

今回は荷下ろしに丁寧に時間をかけての約8分です。
運用に慣れれば、1回あたり約5分程度まで短縮できる見込みです。

項目結果
運搬区間片道 約1km(谷間地形)
1回あたり所要時間(往復)約8分 ※運用習熟で約5分程度に短縮見込み
人力運搬(参考)片道 約1時間
1回の積載苗木袋3袋・約26kg
苗木の損傷・運搬中の揺れ特に問題なし

苗木の損傷や運搬中の揺れは問題にならず、フック懸吊の安定性も確認できました。

バッテリーは1回あたり約35〜40%を消費し、今回は都度交換しました。
運用を効率化すれば、1回の装着で2往復も可能と見込まれます。

苗木を懸吊して飛行するDJI FlyCart 30(長野県松本市)
苗木を懸吊して谷間を運搬する様子。揺れも問題なく安定して飛行

導入のメリットと、正直に知っておきたい課題

ドローン運搬は万能ではありません。
導入を検討するうえで、メリットと課題の両方を知っておくことが大切です。

重量物運搬に対応するドローン DJI FlyCart 30 の機体
実証で使用したDJI FlyCart 30。重量物運搬に対応した産業用ドローン

メリット

  • 運搬時間を大幅に短縮できる(実証では人力片道1時間の区間を往復約8分)
  • 作業員の負担・労災リスクを軽減でき、植栽作業に人手を集中できる
  • 地形の制約を受けず、林道のない斜面や谷を越えて運べる
  • 数十kg規模の重量物に対応(FlyCart 30のメーカー公表値はシングルで最大40kg)

知っておきたい課題

  • 荷の積載・固定・荷下ろし方法の工夫が必要:フレコンバッグでの運用は、積みやすさ・荷下ろしのしやすさを含め現場に合わせた見直しが効果的です
  • 飛行許可・承認の事前取得:谷間地形では地表からの飛行高度を150m未満に抑える必要があり(航空法)、効率的な運用には必要な許可・承認を事前に取得しておくことが望ましいです
  • 天候の影響:強風・荒天時は安全のため運搬を見送る判断が必要です
  • 事前の運搬計画:荷下ろし手順や梱包方法を作業業者と密に調整することで、より確実な運搬につながります

これらはいずれも、現地調査と事前準備で対応できる範囲です。ASOLAB.では、飛行許可・承認の取得や運搬計画の策定までサポートします。

ドローン苗木運搬の導入の進め方

「使えそうだが、何から始めればいいかわからない」という方も多いと思います。ASOLAB.では、次の流れで導入をサポートしています。

  1. お問い合わせ・ヒアリング:現場の地形、運搬区間、苗木量、希望時期などをお聞きします
  2. 現地調査・デモ飛行:実際の現場で運搬可否を確認し、運用イメージを共有します
  3. 運搬計画の策定:飛行ルート・荷下ろし手順・梱包方法を設計し、必要な飛行許可・承認の取得をサポートします
  4. 本番運用:計画にもとづき、安全に苗木運搬を実施します

なお、造林の省力化や林業の効率化に関しては、自治体や国の支援制度を活用できる場合があります。対象となるかは事業や地域によって異なりますので、ご相談時にあわせてご案内します。

費用について

費用は、現場の条件によって変わります。
運搬区間の距離・地形、苗木の量、飛行許可の要否、作業日数などが関わるためです。

そのため一律の料金は設けず、現地調査をふまえてお見積もりをご提示しています。
まずは無料相談・現地デモから、お気軽にご相談ください。

※ドローン測量や赤外線によるクマ対策など、林業・自治体向けのドローン活用についても対応しています。あわせてドローン測量のサービス紹介クマ対策ドローンの記事もご覧ください。

ドローンによる苗木運搬のご相談はASOLAB.へ

長野県を中心に、林業事業者さま・自治体さまの現場に合わせたドローン運搬をご提案します。「うちの現場で使えるか知りたい」という段階でも構いません。現地調査・デモのご相談を承ります。

よくある質問

ドローンでの苗木運搬は、どのくらいの重さまで運べますか?

数十kg規模の運搬に対応できます。実証で使用したDJI FlyCart 30のメーカー公表値はシングル吊りで最大40kg・デュアルで最大30kgで、実証では1回あたり約26kgの苗木を運搬しました。最適な積載量は機体や現場条件によって変わるため、ご相談時にご案内します。

どんな現場でもドローン運搬は使えますか?

林道のない斜面や谷を越える区間など、地形の制約が大きい現場ほど効果を発揮します。ただし飛行範囲や障害物、天候などの条件があるため、まず現地調査・デモ飛行で運搬可否を確認したうえでご提案します。

飛行に許可や承認は必要ですか?

谷間地形などでは地表からの飛行高度を150m未満に抑える必要があり(航空法)、現場や運用内容によっては飛行の許可・承認が必要になります。ASOLAB.が必要な手続きの確認・取得までサポートしますので、はじめての方でもご安心ください。

雨や強風の日でも飛べますか?

安全を最優先するため、強風・荒天時は運搬を見送ります。実証は快晴・風速5m/s以内(飛行中一時8m/s程度)の条件で実施しました。運搬日は天候を確認しながら計画します。

費用はどのくらいかかりますか?

運搬区間の距離・地形、苗木の量、飛行許可の要否、作業日数などの現場条件によって変わるため、現地調査をふまえてお見積もりをご提示しています。まずは無料相談・現地デモからお気軽にご相談ください。

補助金や支援制度は使えますか?

造林の省力化や林業の効率化に関しては、自治体や国の支援制度を活用できる場合があります。対象となるかは事業や地域によって異なりますので、ご相談時にあわせてご案内します。