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「外壁のタイルが浮いていないか心配」「太陽光パネルの発電量が落ちている」「足場を組まずに建物を点検したい」——こうした課題を、対象に触れずに調べられるのが赤外線点検です。この記事では、赤外線点検の基礎知識から、調査できる対象、メリット・デメリット、ドローンと地上カメラの違い、建築基準法12条点検との関係、費用の考え方、業者選びのポイントまでを、まとめて解説します。
【この記事のまとめ】赤外線点検とは、赤外線カメラで対象物の表面温度の違いを撮影し、外壁の浮き・剥離、屋根の漏水、太陽光パネルのホットスポット、設備の異常発熱などを非接触で調べる調査方法です。足場を組まずに広範囲を確認できるため、外壁調査やドローン点検との相性が高い一方、日照・天候・反射・対象素材によって精度が左右される点に注意が必要です。
赤外線点検とは?サーモグラフィで温度差を可視化する調査方法
赤外線点検とは、対象物が放射する赤外線(熱)の量を測定し、表面の温度分布を画像化して異常を見つける検査方法です。絶対零度でない限り、すべての物体は温度に応じた赤外線を放射しています。赤外線カメラはこの赤外線量を画素ごとに読み取り、温度の高い・低いを色の違いとして表現します。この熱画像が「サーモグラフィ」です。

点検では、この温度差が手がかりになります。たとえば外壁タイルの内側に浮き(剥離)があると、そこに空気の層ができます。空気は熱を伝えにくいため、日射で温められた際に正常な壁面とは異なる温度を示し、熱画像上で違いとして現れます。こうして対象に一切触れずに(非接触で)、内部の異常を間接的に推定できるのが赤外線点検の特徴です。
赤外線点検でわかること|外壁・屋根・太陽光・設備の主な活用例
「赤外線点検」と一口に言っても、対象は建物から発電設備、インフラまで多岐にわたります。ここでは代表的な活用シーンを紹介します。
外壁タイル・モルタルの浮き/剥離調査

最も需要が大きいのが、ビルやマンションの外壁調査です。タイルやモルタルの浮きは、放置すると剥落して通行人や車に被害を及ぼす恐れがあります。赤外線点検なら、足場やゴンドラを組まずに外壁の状態を効率的に把握でき、後述する建築基準法の定期報告(12条点検)にも活用できます。
屋根・防水層の劣化、漏水の調査
屋根や陸屋根の防水層に劣化や水分の侵入があると、その部分は周囲と異なる温度を示します。人が登りにくい屋根もドローンであれば安全に撮影でき、雨漏りの原因箇所の絞り込みに役立ちます。
太陽光パネルのホットスポット検出

太陽光発電所では、不良セルや断線、汚れなどによって一部のセルだけ異常発熱する「ホットスポット」が発生することがあります。これは発電量の低下や、状態によっては安全上のリスクにつながる場合があります。ドローン×赤外線なら、広大なメガソーラーや山間部・屋上のパネルも上空から効率的に点検でき、異常が疑われるパネルを特定しやすくなります。
電気設備・配管などの過熱診断
受変電設備や配電盤、配管などは、接続不良や負荷の偏りによって異常発熱することがあります。赤外線点検で稼働中の温度分布を確認することで、停止させずに不具合の兆候を早期発見でき、予防保全に役立ちます。
赤外線点検のメリット・デメリット
赤外線点検を検討するうえで、長所と短所の両方を理解しておくことが大切です。まずメリットは次のとおりです。
- 非接触で調査できる:建物や設備に触れずに内部の異常を推定できる
- 広範囲を短時間で把握:一枚の熱画像で広い面を一度に確認できる
- 足場・ゴンドラが不要:仮設設備が要らず、建物の条件によっては調査コストを大幅に抑えられる場合がある
- 記録・比較が容易:画像データとして保存でき、経年変化を比較できる
- ドローンとの相性が良い:高所・大規模・山間部でも足場なしで撮影できる
従来の足場・ゴンドラ・ロープアクセスによる打診調査と比べると、特に準備期間と安全面で違いが出ます。
| 比較項目 | 足場・ゴンドラ+打診 | 赤外線点検(ドローン) |
|---|---|---|
| コスト | 仮設設備の費用が大きくなりやすい | 仮設が不要で、条件により大幅に抑えられる場合がある |
| 準備〜調査期間 | 仮設設置に数日〜1か月程度かかることも | 準備が少なく短期間で実施しやすい |
| 安全性 | 高所作業による事故リスク | 作業員が高所に上がらず安全 |
| 記録性 | 調査員の所見が中心 | 画像データで保存・経年比較が可能 |
一方で、次のようなデメリット・注意点もあります。
- 天候・日照に左右される:温度差が出にくい曇天・雨天や時間帯では精度が下がることがある
- 反射などのノイズ対策が必要:周囲の反射が熱画像に映り込み、誤判定の原因になり得る
- 対象素材・工法による適否:金属など反射率の高い仕上げや複合素材では適さない場合がある
- 解析に専門知識が必要:撮影だけでなく、画像分析の経験が結果の精度を左右する
- 飛行環境の制約:ドローンを使う場合、飛行できる場所や天候に制限がある
ドローン赤外線点検と地上カメラの違い
赤外線点検には、大きく分けて「地上に設置した赤外線カメラで撮影する方法」と「ドローンに赤外線カメラを搭載して撮影する方法」の2つの選択肢があります。原理は同じですが、撮影位置の自由度が異なるため、得意・不得意が分かれます。赤外線カメラ自体は新しい技術ではなく、建物から離れた地上から手持ちカメラで撮影する手法は以前から行われてきました。そこに「自在に飛べるドローン」という選択肢が加わった形です。
地上カメラ(ハンドヘルド・固定設置)による赤外線点検

地上や建物の周囲から、三脚や手持ちの赤外線カメラで撮影する方法です。機材がシンプルで、飛行に関する許可・承認が不要なため、着手しやすいのが利点です。
- メリット:飛行許可が不要/低層部・地上付近の設備は手軽かつ短時間で調査できる/空港周辺や人口集中地区などドローンが飛ばしにくい場所でも実施しやすい
- デメリット:高層階になるほど壁面に対して撮影角度が浅くなりやすい/望遠で角度を補っても距離が離れると熱を捉えにくくなる/隣接建物や植栽など地上の障害物で死角・撮影位置の制限が生じる
ドローンによる赤外線点検

赤外線カメラを搭載したドローンを飛行させ、上空から撮影する方法です。赤外線データは「壁面にできるだけ正対した角度」「熱を捉えられる適切な距離」で撮影するほど安定しますが、ドローンはこの撮影位置を高さに関係なく取りやすいのが強みです。
- メリット:高層階でも壁面に正対した位置を取りやすく、地上撮影に比べて撮影角度や距離をそろえやすい/屋根や上空からしか見えない箇所にもアクセスできる/大規模・山間部も効率的
- デメリット:飛行に許可・承認が必要な場合がある/飛行禁止・困難なエリアでは使用できない/風や天候の影響を受けやすく、安全に飛行させる操縦技術が求められる
| 比較項目 | 地上カメラ | ドローン |
|---|---|---|
| 高層階の撮影条件 | 角度がつきやすい | 正対した位置を取りやすい |
| 建物全面の均質性 | 位置によりばらつきやすい | 条件をそろえやすい |
| 死角・障害物 | 地上の障害物で死角が出やすい | 上空から回り込め死角が少ない |
| 飛行許可 | 不要 | 場所により必要 |
| 飛ばせない場所 | 影響を受けにくい | 実施できない場合がある |
| 適したケース | 低層・地上設備・飛行困難地 | 中〜高層・大規模・屋根 |
大まかには、中〜高層の建物や大規模施設、屋根まわりはドローンが向き、低層部や地上設備、ドローンが飛ばせない立地は地上カメラが向きます。両方に対応できる業者であれば、建物の高さ・立地・飛行環境に応じて最適な方法(必要に応じて両者の併用)を選べます。
赤外線点検と建築基準法12条点検の関係
外壁の赤外線点検を語るうえで欠かせないのが、建築基準法第12条に基づく「定期報告制度(いわゆる12条点検)」です。一定規模以上の特定建築物の所有者・管理者には、建物の状態を定期的に調査し、特定行政庁へ報告する義務があります。報告を怠った場合には罰則が科されることもあります。
外壁の調査については、一般に対象となる建築物では、おおむね3年以内ごとに手の届く範囲の打診等を行い、竣工または外壁改修等から10年を超えた場合などに外壁の全面調査が求められます(具体的な報告周期や運用は特定行政庁によって異なります)。
この全面調査の方法として、令和4年の告示改正により、タイル・石貼り等(乾式工法によるものを除く)やモルタル等の調査方法が明確化されました。告示にある「テストハンマーによる打診と同等以上の精度」の判定にあたっては、国土交通省の「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」を参考とすることになっています。つまり、ガイドラインに沿って実施する赤外線調査は、無人航空機(ドローン)によるものを含め、外壁の全面調査における方法の一つとして位置づけられています。地上に設置した赤外線装置による調査も、同様にこのガイドラインを参考とすることとされています。
なお、ドローンによる赤外線調査は航空法等の関連法令に基づき、安全な飛行が可能となる技術の利用と安全管理を行ったうえで実施することが前提です。調査の実施体制や調査員の資格についても要件が示されているため、依頼先がこれらに対応しているかを確認しておくと安心です。
参考: 建築基準法に基づく定期報告制度について(国土交通省)
赤外線点検の費用相場|料金が変わる主な要因
赤外線点検の費用は、建物や調査の条件によって大きく変わるため、一律の相場を示すのは難しいのが実情です。ただし、足場やゴンドラの仮設が不要になるぶん、従来の打診調査と比べて調査コストを抑えられるケースが多いのが特徴です。料金は、主に次のような要因で変動します。
- 建物の規模・高さ・形状
- 調査面積(外壁全面か、部分か)
- ドローン使用の有無、飛行許可・承認申請の有無
- 報告書作成の有無・仕様
- 12条点検(定期報告)対応の有無
- 打診調査の併用の有無
- 現場までの交通費・諸経費
正確な金額は、建物の図面や現地条件を確認したうえでのお見積もりが確実です。株式会社ASOLAB.ではご相談・お見積もりを無料で承っています。
赤外線点検の精度を左右する条件と注意点
赤外線点検は万能ではありません。信頼できる結果を得るには、いくつかの条件と限界を理解しておくことが大切です。
- 温度差(日照)が必要:異常を検出するには対象と周囲に十分な温度差が必要です。日照が乏しい日や温度差が出にくい時間帯は精度が下がることがあります。
- 反射などのノイズ対策:周囲の建物や空の反射が熱画像に映り込み、誤判定の原因になります。これを見極める分析技術が欠かせません。
- 対象・工法の適否:仕上げの種類によっては赤外線が適さない場合があり、事前確認が重要です。
- 打診との併用:ガイドラインでも、事前に手の届く範囲で打診と温度分布を照合してから本格撮影に移ることが推奨されています。必要に応じて打診を併用することで信頼性が高まります。
赤外線点検業者を選ぶポイント
赤外線点検は「撮影すれば終わり」ではなく、画像解析と報告までを含めた総合力で品質が決まります。依頼先を選ぶ際は、次の点を確認するとよいでしょう。
- 赤外線画像の解析経験が豊富か
- ドローン撮影だけでなく報告書作成まで一貫して対応できるか
- 12条点検や外壁調査の制度・ガイドラインを理解しているか
- 可視画像と熱画像を照合して異常箇所を特定できるか
- 必要に応じて打診との併用を提案できるか
- 飛行許可・安全管理に適切に対応できるか
長野県松本市のドローン総合サービス事業を展開する「株式会社ASOLAB.」では、これらをすべて自社で対応できる体制を整えています。
ASOLAB.の赤外線点検サービスの流れ
ここからは、ASOLAB.が実際に行っている赤外線点検の進め方をご紹介します。撮影から解析・報告書作成までを一貫して対応します。
STEP1|ヒアリング・現地確認
点検の目的(12条点検対応、修繕前調査、太陽光の発電量低下調査など)、建物の規模・形状・立地、希望時期などをヒアリングします。周辺の飛行環境や日照条件も確認し、最適な調査計画を立てます。
STEP2|飛行計画・許可申請
撮影に必要な飛行ルートを設計し、必要に応じて国土交通省への飛行許可・承認申請を代行します。国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)を持つパイロットが、安全第一で飛行を担当します。
STEP3|撮影(可視画像+赤外線画像を同時取得)
業務用ドローンに赤外線カメラを搭載し、外壁や屋根、パネルを撮影します。赤外線画像と同時に高精細な可視画像も取得することで、「どの位置に異常があるか」を後から正確に照合できます。赤外線は撮影位置や角度で品質が変わるため、適切な画角・距離での撮影ノウハウが品質を左右します。
STEP4|画像解析(自社開発販売ソフト「CRITIR」を活用)
赤外線点検の品質は、撮影技術だけでなく撮影後の「画像解析」で大きく決まります。ASOLAB.は、長年の赤外線点検業務で培った知見をもとに、解析から報告書作成までを一貫して行えるオールインワン型の国産解析ソフト「CRITIR(クリティア)」を自社開発・発売しました(2026年5月リリース)。赤外線建物診断技能師制度を運営する一般社団法人街と暮らし環境再生機構(TERS)の監修を受けており、外壁点検・建物診断の実務に寄り添った設計になっています。

「点検会社が自社で解析ソフトまで開発している」という体制は珍しく、現場で何が課題になるかを知り尽くしているからこそ実現できたものです。反射などのノイズを考慮した分析により、浮きや異常箇所を精度高く判定します。CRITIRの主な強みは次のとおりです。
- マルチメーカー対応(変換不要):DJI・FLIR・HIKMICRO・Skydio・Flukeなど多メーカーの対応機種の赤外線画像を変換不要で直接読み込めるため、複数機種を併用する現場でも運用がシンプル(対応機種は公式ドキュメントを要確認)
- 壁面(立面)オルソ画像の自動生成:建物の壁面全体を1枚に合成でき、どこにどの程度の異常があるかを一目で示せる
- 測定結果の自動投影:画像の位置情報をリンクさせ、ある画像で行った温度測定や異常範囲の指定を、同じ箇所が写った他の画像にも自動反映。照合の手間を削減できる
- 解析から報告書まで一気通貫:可視画像と赤外線画像を照合した報告書作成までを1つのソフト内で完結でき、納品までのリードタイムを短縮できる
このように、ASOLAB.の赤外線点検は「現場の撮影力」と「自社開発ソフトによる解析力」の両方を備えている点が特徴です。撮影と解析が分断されないため、精度の高い判定と分かりやすい報告書を、スピーディーにお届けできます。CRITIRの詳細や他ソフトとの比較は、赤外線画像解析ソフトの比較記事で解説しています。
※赤外線外壁点検などを行う事業者様向けに「CRITIR(クリティア)」および、DJI赤外線画像のFLIR形式/TIFFへの変換が可能な「CRITIR Convert(クリティアコンバート)」を販売しております。詳しくはお問い合わせください。
STEP5|報告書の作成・納品
解析結果をもとに、異常箇所の位置・範囲・所見をまとめた報告書を作成・納品します。可視画像と熱画像を対応づけて示すことで、修繕の優先順位の判断や、管理組合・関係者への説明資料としても活用いただけます。
ASOLAB.ではCRITIRを用いることで様々なニーズに合ったフォーマットやレイアウトでのお渡しが可能です。ブラウザで見られるHTMLビューワー出力にも対応しています。

STEP6|アフターフォロー・3D連携
必要に応じて、次回点検の計画や、3D事業部によるLiDAR・フォトグラメトリを用いた高精度3Dモデル化など、点検後の建物管理まで幅広くサポートします。施工を前提としない調査会社として、現場状況に応じた調査結果をご提供します。

よくある質問(FAQ)
Q. 赤外線点検の費用はどのくらいですか?
建物の規模・形状・立地、調査範囲によって変動します。一般的に、足場を組む打診調査と比べてコストを抑えられるケースが多いです。正確な金額は現地条件をふまえてお見積もりいたします(ご相談・お見積もりは無料です)。
Q. どんな天候でも点検できますか?
赤外線点検は温度差を利用するため、十分な日照が得られる晴天時が適しています。天候や立地によっては実施できない場合があり、その際は日程の調整や打診との併用をご提案します。
Q. どんな建物・設備が対象になりますか?
マンション・ビルなどの外壁、屋根・防水層、太陽光パネル、各種設備などが対象です。12条点検(定期報告)への対応もご相談いただけます。
Q. 北面(日当たりの悪い壁)でも赤外線点検はできますか?
赤外線点検は外壁内部との温度差を利用するため、直射日光が当たりにくい北面は、南面などに比べて温度差が出にくく、調査の難易度が上がる傾向があります。ただし「北面は一切できない」わけではありません。日射の回り込みや、一日の気温変化(日の出後の昇温・日没後の放射冷却)による温度差を利用できる時間帯・季節を選んで撮影することで、調査できる場合があります。
具体的には、温度差が生まれやすい朝と夕方の2時刻で撮影し、見比べることで判定する方法を採ることもあります。そのほか、北面だけ撮影時間帯を変える、別日程で対応する、十分な温度差が得られない箇所は打診を併用する、といった方法で精度を確保します。ガイドラインでも、赤外線調査の適用条件(日射・温度差が得られるか)を事前に把握することが前提とされています。ASOLAB.では現地の日照条件を確認したうえで、北面を含めた最適な調査計画をご提案します。
Q. 長野県以外でも対応してもらえますか?
ASOLAB.は長野県松本市を拠点に、全国の案件に対応しています。エリアについてはお気軽にお問い合わせください。
赤外線点検のご相談は株式会社ASOLAB.へ

株式会社ASOLAB.は、長野県松本市を拠点とするドローン総合サービス企業です。赤外線建物点検・太陽光パネル点検・ドローン/地上レーザー測量・3Dモデリングを強みとし、撮影から自社ソフトCRITIRによる解析、報告書作成までを一貫して行います。施工を前提としない調査会社として、足場いらず・低コストでの調査をご提供します。
外壁の12条点検、太陽光発電所のホットスポット調査、屋根・設備の点検など、赤外線点検に関するご相談・お見積もりは無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。




