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建物や構造物などの点検・診断・調査の現場では、「画像は撮った。異常も見つけた。でも、それが建物のどこなのかを相手に伝えるのが難しい」という場面がよくあります。とくに構造が複雑な建物や、平面図に落としづらい構造物、またどの写真も似通った見た目をしているような現場では、写真1枚を見せても位置関係が伝わりません。
この記事では、点検で撮影した写真から3Dモデルを作る方法を、実務の手順に沿って解説します。ドローン空撮でも手持ち撮影でも可能です。3D化が必要になる場面の見極め、作り方の選択肢、実際の工程、そして作った3Dを相手に見てもらうまでの流れまでを一通り扱います。後半では、性格の異なる3つの対象──松本城・トンネル・太陽光パネル──を実際に3D化した工程をそのまま紹介します。
点検データを3D化すると、何が変わるのか
3D化の価値は「きれいに見えること」というのももちろんありますが、異常が建物のどこにあるのかを、説明せずに伝えられることにあります。報告する相手は必ずしも現場を見ていませんし、図面を読み慣れているとも限りません。
3D化が効く場面
- 屋根・庇・出隅入隅が多く、平面図に落とすと位置が分からなくなる建物
- トンネルや円筒タンクのように、展開図にすると感覚がつかみにくい構造物
- 複数面にまたがって異常が連続しており、面ごとの写真では全体像が見えないケース
- 発注者や管理組合など、図面を読み慣れていない相手に説明する必要があるとき
オルソ画像で足りる場面
- 正対して撮影できる平坦な壁面で、面積や位置を数値で示せればよいとき
- 成果物が紙の報告書で、そもそも立体を回して見せる機会がないとき
- 調査範囲が1面だけで、図面との対応が明らかなとき
3Dとオルソ画像は必要に応じて使い分けることができます。オルソ画像の作り方は赤外線オルソ画像の作り方完全ガイドで解説しています。
今回使ったツール:CRITIRの3Dモデル生成機能
ここからは実際の工程を紹介します。使用したのは赤外線点検ソフトウェアCRITIR(クリティア)です。点検で撮影した画像群からそのまま3Dメッシュを作れるため、専用の測量ソフトに書き出したり、フォーマットを変換したりする必要がありません。
今回試した3つの現場
3Dモデル生成が効くかどうかは、対象の形状によって変わります。そこで、あえて条件の違う3つを選びました。
| 現場 | 形状の特徴 | 撮影方法 | 3D化のねらい |
|---|---|---|---|
| 松本城 | 屋根・破風・下見板張りなど凹凸が多い複雑形状 | ドローン | 平面図では表現しきれない複雑な形状を正確に示す |
| トンネル | 閉じた曲面が奥行き方向に連続 | 手持ち | 展開図では分かりにくい位置関係を立体で把握する |
| 太陽光パネル | 平面が規則的に並ぶ広い面 | ドローン | アレイ全体の中で異常セルがどこかを一目で示す |
実際の手順:画像を取り込んで3Dメッシュを作る
ステップ1:画像を取り込む
まずは撮影した画像をCRITIRに読み込みます。フォルダを指定するかD&Dで取り込みます。

ステップ2:3Dモデル生成を実行する
取り込みが終わったら3Dモデル生成を実行します。

処理時間の目安は次のとおりでした。
| 題材 | 使用画像枚数 | 処理時間 |
|---|---|---|
| 松本城 | 200枚 | 約60分 |
| トンネル | 720枚 | 約240分 |
| 太陽光パネル | 25枚 | 約10分 |
詳細な3D生成にはCUDA対応GPUが必要ですが、ない場合にも軽量版の3Dが生成できます。
ステップ3:生成された3Dを確認する

生成後は、そのまま画面上で3Dを回転・拡大して確認できます。
※松本城は特別な許可を得て撮影しています(撮影協力: 一般社団法人 松本観光コンベンション協会)
単画像の測定が、そのまま3Dに反映される
CRITIRの大きな特徴として、1枚の画像で行った測定が、関連するすべてのビュー、例えば他の画像、オルソ画像、3Dモデルなどに自動で投影されます。つまり、画像上でひび割れや浮きの範囲を測っておけば、その測定結果が3Dモデル側にも現れます。

従来のワークフローだと、「単画像で見つけた異常」と「3Dモデル上の位置」を人の頭の中で対応づける必要がありました。この機能があると、その手間がなくなります。
ひび自動検出AI機能と組み合わせる
ここでは開発中の機能であるひびの自動検出AI機能を使ってトンネルのひびを検出し、3Dモデルに投影までの流れを試してみます。
トンネルは1枚のオルソ画像化するよりも3Dで表現するのが向いている好例です。全体を直感的に分かりやすい形で表現できます。


効率的な点検と可視化が同時に行えました。
赤外線の3Dも同時に作れる
CRITIRの3Dモデル生成は可視光と赤外線(温度情報付き)の両方に対応しています。
これが有効なのは、温度異常の「広がり」を立体で把握・説明したいときです。赤外線オルソ画像でも面的な把握はできますが、トンネルのような曲面や、松本城のように面が入り組んだ建物では、平面に展開した時点で位置感覚が失われます。3Dのまま温度分布を見られると、「どの面のどのあたりか」がそのまま伝わります。

3Dを報告書やWebビューワーで活用できる
作った3Dは、CRITIRの自動報告書作成機能の全体図として活用できます。

また、HTMLビューワーとして書き出すこともできます。HTMLビューワーはブラウザだけで開けるので、相手側にCRITIRをインストールしてもらう必要がありません。
- 発注者や管理組合への報告で、その場で3Dを回して見せられる
- 現地に来られなかった関係者にも、位置関係を含めて共有できる
- 報告書PDFに添付した静止画の「補足資料」として渡せる

CRITIRについて

CRITIR(クリティア)は、株式会社ASOLAB.が開発する赤外線画像解析・点検・報告書作成統合ソフトウェアです。外壁点検の現場ニーズから生まれました。
- DJI / FLIR / HIKMICRO / Skydioなど多種メーカーの赤外線画像を変換不要で読み込み(Matrice 4T / Zenmuse H30T / Mavic 3T / Matrice 30T / Zenmuse H20T / Zenmuse XT2、FLIR T860 / T640bx / T560、HIKMICRO SP60 / SP60H など)
- 立面・壁面オルソ / 3Dモデルを自動生成
- 可視オルソ画像 / 赤外線オルソ画像を同時生成
- 測定・点検結果を他画像やオルソ画像、CAD図面に自動投影(劣化位置の長さ・面積を自動積算)
- 報告書テンプレートを内蔵(写真台帳・赤外線調査・劣化図・劣化数量積算表)
詳細はCRITIRの製品ホームページをご覧ください。
まとめ
点検写真から3Dモデル松本城・トンネル・太陽光パネルの3現場で作ってみました。ポイントを整理すると次のとおりです。
- 3Dはオルソ画像と使い分けが可能
- 撮影画像を取り込むだけで、点検ソフトの中で3Dメッシュまで完結する
- 単画像で行った測定が3Dへ自動的に反映されるため、位置の対応づけが不要になる
- 可視光と赤外線の両方を3Dで見られるので、温度異常の広がりを立体で把握できる
- HTMLビューワー出力により、相手の環境を問わず3Dごと共有できる
赤外線点検そのものの基礎については赤外線点検とは?外壁・屋根・太陽光の調査・診断方法を、ソフトの比較検討には赤外線画像解析ソフトおすすめ4選をご覧ください。
CRITIRの導入をご検討の方へ
機能詳細・価格・体験版のご案内は公式サイトをご覧ください。導入前のご相談やデモのご依頼も承っております。




