目次
ドローン搭載型LiDARは機種によって、取得できる点群の密度が大きく異なります。
本記事では、DJI Zenmuse L3が従来機と比べて何をどう変えるのかを、点密度・精度・現場適用性の3つの観点から、同一現場・同一条件の断面データをもとに解説します。
従来機(Zenmuse L1など)の限界
DJI Zenmuse L1は、ZenmuseシリーズのLiDAR機種としてL2・L3の前に登場したモデルです。
公共測量の精度基準を満たしにくいという課題に加え、点密度の低さによる補間区間の発生という、別の構造上の問題もありました。
補間が生じるメカニズム
点密度が低いため断面図を作成する際に注意が必要です。
地面に届いた点が少ない区間では、ソフトウェアが点と点を直線で結んで補間します。
この補間区間は実測値ではなく参考値です。実際の地形に凹凸や段差があっても、補間によってなだらかな直線として表現されてしまいます。

数値に責任が伴う場面では問題になる
概略検討であれば大きな問題にはなりません。
しかし以下のような場面では、この補間区間が誤差の原因になります。
- 土量計算
- 法面設計
- 既設構造物の現況把握
次のセクションでは、後継モデルであるZenmuse L3がこの問題をどう解決するかを見ていきます。
Zenmuse L3だと何が変わるのか
補間が大幅に減る
DJI Zenmuse L3は、毎秒最大200万点の照射が可能です。
点密度が高いため、断面図を作成する際に補間に頼る必要がある区間が大幅に減ります。
点と点の間隔が極めて小さく、実測値として使える地面データが連続して得られます。法面の変化点や構造物のエッジも、直線で丸められることなく実際の形状のまま記録されます。

植生の下も実測値で取得できる
もう一つの大きな特徴がマルチリターンです。
Zenmuse L3は1回の照射で最大16回の反射を検知します。
樹木の葉や枝で反射した点だけでなく、その隙間を抜けて地表に到達した点も記録できます。従来機では植生に遮られて「地面データなし」となっていた箇所が、Zenmuse L3では実測値として取得できます。
より多くの区間が実測値になる
結果として、Zenmuse L3の断面図は補間区間が大幅に減り、より多くの区間を実測値として扱えます。
これが従来機との本質的な違いです。
同一現場での比較データ
比較条件
同一エリア・同一飛行条件・同一処理フローで取得した断面を比較しました。
条件差による有利・不利が一切ない状態での比較です。

補間区間の有無が明確に現れる
従来機の断面では、地面データが取れていない区間が直線で補間されています。
一方Zenmuse L3の断面は、同じ区間でも実測点が連続しており、実際の地形の凹凸がそのまま記録されています。
補間区間を使うリスク
補間区間は参考値です。その区間に実際どのような地形があるかは、補間だけでは判断できません。
土量計算や法面設計でこの区間を使用した場合、算出値と実際の施工量にずれが生じるリスクがあります。
Zenmuse L3であれば、この補間区間を大幅に減らすことができます。
砂防・山間部でZenmuse L3を使うと現場がどう変わるか
山間部測量が抱える3つの壁
砂防堰堤や山間部の測量現場は、平地とは異なる3つの制約があります。
- 視界の壁:濃密な植生により地表面が見えない
- 安全の壁:急峻な地形や渓流沿いなど人が立ち入れない
- 精度の壁:岩場や既設堤体の複雑な形状を正確に把握しなければならない
Zenmuse L3はこの3つに対して、それぞれ明確な解を持っています。
視界の壁:植生下の地表データを実測値で取得できる

毎秒200万点の照射と最大16リターンのマルチリターン方式により、木の葉の隙間を縫って地表までレーザーが到達します。
従来機では植生に遮られて補間になっていた区間が、Zenmuse L3では実測値として取得できます。
伐採前の段階でも信頼性の高い地形モデル(DTM)を作成でき、土量計算の基礎データを早期に得ることができます。
安全の壁:危険な現場に立ち入らずにデータを取得できる

反射率10%の暗い対象物でも最大950mの長距離検知が可能です。
崩落リスクのある斜面や、渡河が必要な渓流の対岸など、人が近づけない場所でも安全な位置からデータを取得できます。
精度の壁:細部まで実測値として記録できる

高度120mでのレーザースポット径が41mmと、前モデル比で約1/5に極小化されています。
電線や岩の尖った角といった細部まで鮮明に点群化でき、既設堤体のひび割れや摩耗状況の記録・診断にも活用できます。
現場全体への波及効果
Zenmuse L3では、点一つひとつの測距精度が向上し、垂直3cm・水平4cm(高度120m)という公共測量水準の数値に達しています。
また、点密度の向上により補間区間が減ったことで、従来機では対応が難しかった環境でも、他の測量手法と同等の成果物を期待できるようになりました。
ドローン測量を現場の選択肢として検討できる場面が広がったことが、L3がもたらす実質的な変化です。
まとめ・お問い合わせ
ドローン測量では、断面図を作成する際に補間区間が生じると、その区間は参考値として扱います。
DJI Zenmuse L3は高い点密度とマルチリターンにより、補間区間を大幅に減らし、より多くの区間を実測値として扱えるデータを提供します。
特に砂防・山間部・法面など、植生が濃く地形が複雑な現場では、補間に頼らないデータの信頼性が設計・施工の精度に直結します。
現場の条件によってZenmuse L3が適用できる範囲は異なりますが、従来機では難しかった環境でも選択肢として検討できる場面が広がっています。測量データの品質向上を検討されている場合は、お気軽にご相談ください。
ASOLABでは、DJI Zenmuse L3を用いたドローン測量の機種選定から飛行・データ納品まで一貫して対応しています。現場の状況や用途をお聞きした上で、最適なプランをご提案します。



