BLOG

オルソ画像とは?普通の空撮写真との違い・使い道・作り方をやさしく解説

当社がドローンで作成した野球場のオルソ画像と「オルソ画像とは?」の文字を並べたアイキャッチ画像
目次

オルソ画像は、ドローンや飛行機から撮った写真を、真上から見た状態にととのえた画像です。ひとことで言うと「写真でできた地図」です。

普通の写真にはゆがみがありますが、オルソ画像ではそれを直してあります。そのため、地図と同じように「どこに」「何が」「どのくらいの広さで」あるのかを確かめられます。

スマートフォンの地図アプリで「航空写真」に切り替えたときの、真上から見下ろした写真の地図を思い浮かべてみてください。あれがイメージに近いものです。ドローンで撮れば、自分たちの現場を、知りたいタイミングで、より細かく残せます。

左は斜めから撮った普通の写真のイラストで、奥の畑ほど小さく見える。右はオルソ画像のイラストで、畑や道路が真上から見た正しい形と大きさで並んでいる。
同じ現場を、普通の写真(左)とオルソ画像(右)で見たときのイメージです。

この記事では、オルソ画像をはじめて知る方に向けて、普通の空撮写真との違い、仕事での使い道、作り方、できること・できないことの順に、専門用語をできるだけ使わずに紹介します。

この記事の要点

  • オルソ画像は、写真のゆがみを直して「地図として使える」ようにした画像
  • 現場の共有、計画図との重ね合わせ、距離や面積の確認に役立つ
  • 高さや土の量、木の下の地面などは、オルソ画像だけでは分からない

普通の空撮写真と、何が違うの?

いちばんの違いは、「見るための写真」か「地図として使える写真」かという点です。

普通の空撮写真は、場所によって大きさが変わって写る

斜めから撮った写真では、手前のものは大きく、奥のものは小さく写ります。同じ幅の道路でも、奥へ行くほど細く見えます。現場の雰囲気や山の広がりを伝えるには、この立体感がぴったりです。

ドローンで斜めから撮影した、森林と山並みが広がる空撮写真
普通の空撮写真の例。手前から奥への距離感や、山の斜面がよく伝わります。(撮影:当社/美ヶ原の空撮業務レポート)

ただし、写る大きさが場所ごとに違うので、写真の上で長さを測っても実際の長さとは合いません。

「それなら、カメラを真下に向けて撮ればいいのでは?」と思うかもしれません。ところが真下に向けても、山の上や建物の屋根のようにカメラに近い高い場所は大きく、低い場所は小さく写ります。写真の端のほうでは、背の高いものが外側に倒れたように見えることもあります。

オルソ画像は、そのずれを計算で直した写真

オルソ画像は、たくさんの写真と地形の高さの情報をもとに、場所ごとのずれを計算して直したものです。画像のどこを見ても真上から見たのと同じ状態になり、縮尺(地図上の長さと実際の長さの比率)がそろいます。だから、地図や図面と重ねたり、長さや広さを測ったりできるのです。

実際のオルソ画像を見てみましょう。

ドローンで撮影した写真から作成した野球場のオルソ画像。扇形のグラウンドに白線が引かれ、左側に道路、右側に細長い建物が写っている。
実際のオルソ画像の例。当社がドローンで撮影した写真から作成した、野球場のオルソ画像です。グラウンドの形や白線、まわりの道路や建物の位置関係が、地図のように真上から見た形で並んでいます。

画像のふちが、四角ではないのはなぜ?

オルソ画像は、ドローンで撮影した範囲だけが作られます。撮影範囲の外側には写真がないため、画像の外周は不規則になることがあります。用途に合わせて、必要な範囲を四角く切り出すこともできます。

用語メモ

オルソ画像は「正射画像」「正射投影画像」とも呼ばれます。写真のずれを直す処理は「正射変換(せいしゃへんかん)」といいます。国土地理院の「オルソ画像について」でも、同じ考え方が紹介されています。

なお、オルソ画像は、たくさんの写真をきれいにつなぎ合わせただけの「パノラマ写真」とは違います。広く見渡せても、位置や縮尺がそろっていなければ、地図として使うことはできません。

比較項目普通の空撮写真オルソ画像
見え方斜めや真下から見た、ふだんの写真全体を真上から見た、地図のような写真
大きさ・縮尺場所によってバラバラ画像全体でそろっている
地図・図面と重ねる正しく重ならない重ねられる(位置情報つきの場合)
距離・面積を測る正しく測れない測れる(真上から見た平面上の値)
向いている使い方現場の雰囲気を伝える、記録・PR位置関係の確認、打ち合わせ、計画の検討

オルソ画像は、どんな仕事に役立つ?

オルソ画像の強みは、写真の分かりやすさと、地図の正確さをあわせ持っていることです。図面を読み慣れていない人とも、同じ現場のイメージを共有しやすくなります。よく使われる3つの場面を紹介します。

使い方1 現場の全体像を、関係者みんなで共有する

広い現場で「北側の資材置き場」「入口から奥の作業範囲」と言葉だけで伝えると、人によって思い浮かべる場所が違うことがあります。オルソ画像に印や範囲を書き込めば、全員が同じ場所を見ながら話せます。先ほどの野球場のオルソ画像なら、「グラウンド右側の細長い建物の、手前の角」といった細かな場所まで、画像を指しながら伝えられます。

オルソ画像のイラストに「資材置き場はここ」という吹き出しと、点線の囲みが書き込まれている
オルソ画像に書き込んで、場所を伝えるイメージ

図面の記号が分からなくても、実際の道路や建物が写っているので、現場に来たことのない人にも伝わりやすいのが利点です。

また、工事の前・途中・後と時期を変えて撮影すれば、工事の進み具合を見比べられます。比べるときは、撮影日を必ず記録しておきましょう。日当たりや季節によって色が変わることもあるので、色の違いだけで判断しないことも大切です。

使い方2 計画図と、いまの現場を重ねて見る

これから作る道路や建物の計画図をオルソ画像に重ねると、「図面のこの線は、現場ではどこに当たるのか」がひと目で分かります。

「現場の画像」と「計画図」を重ねると、計画中の建物が現場のどこに建つかが分かる「重ね合わせ」の画像になる、という流れのイラスト
現場の画像に計画図を重ねるイメージ

ただし、画面の上で大きさを合わせて重ねるだけでは不十分です。正しく重ねるには、両方の位置の基準(座標:地球上の位置を表す数値)がそろっている必要があります。見た目がぴったり重なっていても、それだけで位置が正しいとは限りません。古い図面と重ねる場合は、その図面がいつ、どの基準で作られたかも確認しましょう。

使い方3 作業範囲の広さや、2点間の距離を測る

位置情報つきのオルソ画像なら、地図ソフトや測量ソフトの上で距離や面積を測れます。たとえば「草刈りをする範囲はどのくらいの広さか」「資材置き場から作業場所まで何メートルあるか」といった確認に便利です。

オルソ画像のイラスト上で、作業範囲を四角く囲み、その幅を測っている様子
作業範囲を囲んで、広さや長さを測るイメージ

どこからどこまでを測ったのかが画像で見えるので、数字の根拠を説明しやすいのもメリットです。ただし、だいたいの見積もりに使う場合と、設計や工事の数量計算に使う場合とでは、求められる正確さが違います。数字を仕事に使う前に、目的に合ったデータかを確認しておきましょう。

ドローンで、どうやってオルソ画像を作るの?

ドローンでオルソ画像を作るときは、大きく4つのステップで進めます。

01 計画、02 重ねて撮影、03 補正・結合、04 品質確認、の4ステップを表したイラスト
オルソ画像ができるまでの流れ
  1. 計画:何に使うかを決める

    見て共有するだけなのか、図面と重ねたり測ったりするのかで、必要な細かさや撮り方が変わります。あとから使い道を広げようとしても、写真や位置の情報が足りないことがあるため、最初に決めておくことが大切です。

  2. 撮影:写真を重ねながら撮る

    ドローンを決まったルートで飛ばし、となり合う写真に同じ場所が重なって写るように、たくさんの写真を撮ります。重なった部分に写った同じ目印を手がかりに、地形の形を計算するためです。

  3. 補正・結合:ずれを直して1枚にまとめる

    専用のソフトで写真どうしを照らし合わせ、地形の形や撮影したときのカメラの位置を計算します。地上で位置を測っておいた目印の点(標定点)を使って画像を正しい位置に合わせ、ずれを直しながら1枚の画像にまとめます。ドローン自体の位置情報を補正するしくみは、ドローン測量の電波とRTK入門で解説しています。

  4. 品質確認:仕上がりをチェックする

    画像の抜けや不自然なつなぎ目がないかを確認します。測量に使う場合は、位置合わせには使わなかった別の点(検証点)と比べて、位置のずれが許容範囲に収まっているかも確かめます。国土地理院の「UAVを活用した写真測量の精度検証」でも、写真の重なり方や標定点の配置、解析の条件によって精度が変わることが報告されています。

オルソ画像でできること・できないこと

オルソ画像はとても便利ですが、「これ1枚で何でも分かる」わけではありません。依頼する前に、できることとできないことを整理しておきましょう。

○ できること

  • 現場の様子や位置関係を、地図のように確認する
  • 地図や計画図と重ねて見る(位置情報つきの場合)
  • 真上から見た平面上の距離や面積を測る
  • 時期ごとの変化を見比べる

× オルソ画像だけではできないこと

  • 高さ(標高)や、土の量(土量)を求める
  • 斜面に沿った長さや、斜面の面積を測る
  • 木や建物に隠れた地面を確認する
  • 設計用の図面(CADデータ)がそのまま手に入る

高さや土の量を知りたいときは「3Dデータ」と組み合わせる

オルソ画像は平らな1枚の画像なので、画像だけから高さや土の量は分かりません。測れる距離や面積も、真上から見た平面上の値です。

たとえば、斜面(法面:のりめん)に張る資材の量を、画像の上で囲んだ面積のまま見積もると、実際の斜面の面積より少なくなってしまいます。

高さや断面、土の量を調べるには、地面の形を立体的に記録した「点群データ」や「地形モデル」を使います。「全体の様子はオルソ画像、高さや量は3Dデータ」と役割を分けて組み合わせるのがおすすめです。

左はオルソ画像のイラストで、平面の広がりだけが分かる。右は点群・地形モデルのイラストで、点の集まりから高さや断面が分かる。
オルソ画像で分かるのは平面の広がり。高さや断面、土量は点群データや地形モデルで調べます。

用語メモ

点群データ:地面や建物の表面を、位置と高さの情報をもった無数の点で表した3Dデータです。

地形モデル:点群データなどをもとに、地面の起伏をなめらかな面として表したデータです。

設計に使う図面が必要なら「現況図」を作る

設計で線や高さを扱いたい場合は、いまの現場の様子を線や記号で表した図面「現況図(げんきょうず)」が必要です。オルソ画像ができても、図面まで自動で完成するわけではありません。写っているものを読み取って線を引いたり、写っていない部分を現地で確認したりする作業が必要です。

「写真で共有できればよいのか」「CADで編集したいのか」まで決めておくと、必要な成果物を選びやすくなります。平地で草木の少ない1,000㎡以内の敷地なら、撮影から現況図の納品までをまとめたドローン写真測量による現況図作成パックもご利用いただけます。パックには適用条件があるため、個別の現場で使えるかはご相談ください。

「きれいに見える」と「位置が正確」は別のこと

小さなものまでくっきり見える「画像の細かさ」と、写っている場所が正しい「位置の正確さ」は別ものです。拡大してきれいに見えても、位置合わせにずれがあれば、図面との重ね合わせや計測に影響します。

仕上がりは、撮影時のぶれ、写真の重なり方、地形、位置の基準の取り方、解析の方法などで変わります。依頼するときは「どのくらい細かく見たいか」に加えて、「何を測って、何の判断に使うか」も伝えると安心です。

木や建物に隠れた地面は写らない

オルソ画像でも、木の葉や屋根を透かして下の地面が見えるわけではありません。草木に覆われた土地では、見えている緑色の面が地面そのものとは限らない点に注意しましょう。

また、ずれを直すときに使う高さのデータによっては、屋根や木のてっぺんに位置のずれが残ることもあります。

木の下の地面の高さが必要な場合は、レーザー測量や地上での測量など、別の方法も検討します。違いを詳しく知りたい方は、ドローン写真測量とレーザー測量の違いをご覧ください。計測した点群から樹木などを取り除き、地面を取り出す処理は、点群データの分類と、地表面を取り出す処理で紹介しています。

よくある質問

地図アプリの航空写真と、何が違うのですか?
真上から見た写真という点では似ています。大きな違いは、撮影する時期と細かさを選べることです。地図アプリの写真は撮影時期を選べないため、いまの現場の様子と違っていることがあります。ドローンなら、知りたい現場を、知りたいタイミングで、地面の細かな様子まで撮影できます。位置の基準をそろえて作れば、図面との重ね合わせや計測にも使えます。
スマートフォンや、普通のパソコンでも見られますか?
JPEGやPDFなどの閲覧用の形式にすれば、普通の写真や資料と同じように見られます。ただし、広い範囲を細かく写したデータは容量が大きくなるため、共有用に軽くした画像と、作業用の元データを分けておくと扱いやすくなります。距離を測ったり図面と重ねたりするには、位置情報を扱える形式(GeoTIFFなど)と、それに対応したソフトが必要です。
すでに撮ってある空撮写真から作れますか?
写真の内容によります。必要な範囲が重なり合って写っているか、画像が鮮明か、位置の基準に使える情報があるか、などを確認する必要があります。景色を撮る目的で選んだ数枚だけでは、オルソ画像を作れないこともあります。計測や図面との重ね合わせを考えているなら、撮影の前に使い道を決めておくのがおすすめです。
赤外線カメラの画像でも、オルソ画像は作れますか?
作れます。外壁や太陽光パネルの点検などで、温度の分布を1枚で確認するために使われます。ただし、赤外線画像は普通の写真より画素数が少なく、模様も少ないため、写真どうしを照らし合わせにくく、作成の難しさが上がります。作り方は赤外線オルソ画像の作り方完全ガイドで詳しく解説しています。
オルソ画像だけ用意すれば、測量は終わりですか?
必要なものによって異なります。現場の様子を共有するための画像で足りる場合もあれば、設計用の図面、断面図、土量の計算まで必要な場合もあります。画像を受け取ったあとに「誰が」「何に」使うのか、「どのソフトで開くのか」まで共有しておくと、必要な作業や納品の形式を整理しやすくなります。

まとめ|「見るため」か「測るため」かを決めて使う

オルソ画像は、写真のゆがみを直して真上から見た状態にそろえた「写真でできた地図」です。現場の様子を写真のまま伝えながら、場所や範囲、距離や面積を地図のように確認できます。

一方で、高さや土の量、木の下の地面、設計用の図面は、オルソ画像だけでは分かりません。点群データや現況図と組み合わせることで、目的に合った資料になります。依頼するときは、まず「見るため」に使うのか「測るため」に使うのかを決めておきましょう。

関連記事

参考資料

技術・基準の確認には、国土地理院の資料を参照しています。実務では、業務の目的に応じた現行の作業規程・要領と発注仕様を確認してください。

※掲載しているイラストは、仕組みを説明するために描いた架空の現場です。オルソ画像は当社が作成した表示例で、個別の現場の成果・精度を保証するものではありません。

オルソ画像の作成・活用のご相談は当社へ

当社では、ドローン測量によるオルソ画像の作成に加えて、点群データの処理、現況図・断面図の作成、土量の算出などにも対応しています。

「オルソ画像で何ができるのか、まず話を聞いてみたい」という段階でも大丈夫です。ご相談の際は、現場の場所と範囲、使いたい目的、希望の時期をお知らせください。「現場全体を見たい」「計画図と重ねたい」「高さも知りたい」といったご要望から、必要な成果物を一緒に整理します。既存の図面や、お使いのCAD・測量ソフトが分かれば、あわせてお伝えください。