RealityCaptureは、写真から高精度な3Dモデルを自動生成するフォトグラメトリソフトとして、測量や文化財記録、ゲーム開発などの分野で広く利用されてきました。特に高速・高精度な処理が強みで、プロフェッショナル向けの3Dスキャンソリューションとして知られています。
RealityCaptureはRealityScanへ

そんなRealityCaptureですが、2025年に「RealityScan」へのリブランディングが発表されると同時に、RealityScan 2.0として大規模なアップデートが実施されました。
今回の記事では、このRealityScan 2.0で追加された重要な機能について、実際に3Dデータを作成しながら検証・レビューしていきます。
なお、従来のモバイル向けアプリ「RealityScan」は、「RealityScan Mobile」と名称が変更されています。
RealityScan2.0の重要アップデート内容
1. ドローンレーザーなど航空LiDARに対応

RealityCaptureは、もともと複数の写真から高精度な3Dモデルを作成できるツールですが、撮影状況によっては細かい形状が不正確になったり、広域のモデルを生成する場合には歪みが出たりスケールの不正確さが生じることがありました。
しかし今回のアップデートにより、RealityScan 2.0ではドローン搭載型のLiDARデータのインポートに正式対応しています。写真とLiDARを組み合わせることで、形状の精度向上とスケールの信頼性向上が期待できます。
従来のRealityCaptureでもLiDARデータは読み込めましたが、対応していたのは主に地上設置型スキャナーのデータに限られていました。そのため、広いエリアをモデル化する場合、地上の複数地点でスキャンを行う必要があり、大きな手間がかかっていたのです。
RealityScan 2.0の航空LiDAR対応により、より広範囲のエリアを効率的かつ高精度に3Dモデリング化することが可能になりました。
実際に作って比較してみます。
画像のみで作成した3Dモデル
今回は簡易的にドローンで真上から撮影した20枚の写真を使って3Dモデルを作成しました。
まずは画像を位置合わせして点群データを作ります。樹木の部分などかなり疎になっているのが分かります。

次に3Dモデルを作ってみます。RealityScanの詳細度設定は最高にしてあります。

当然のことながら、20枚の写真だけでは、なかなか樹木の形状までは再現することはできません。
ドローンレーザーを併用した3Dモデル
今回のアップデートでドローンのレーザーカメラで取得したデータも使用できるようになったので、さっそく検証してみます。画像は20枚、先ほどと同じものを使用。
データは「.las、.laz、.e57、.xyz、.csv、.pts」形式のものが使用できます。
まずは先ほどと同様に点群から。

この時点ではっきりと密度の違いが分かります。
次に3Dモデルを作ります。

樹木の形状の再現度が明らかに違います。
ドローンのレーザーカメラは通常、同時に写真も撮影することができるため、1度の飛行で写真とレーザーを統合させた3Dモデルを作ることができるようになりました。
非常に精度の高いデータが作れるため、広域の測量や文化財の記録にも活用できそうです。
(非公式) SLAM方式のデータにも対応可能
RalityCaptureではドローンレーザーと同様に、移動式のレーザースキャナーにも対応していませんでした。
しかし今回の航空LiDAR対応によって、非公式ながら設定次第でSLAM点群データのインポートもできるようになりました。公式サポートへの対応も進んでいるとの情報も。


ドローンを飛ばすのが難しい地上付近や建物近くなども、移動式レーザースキャナーで補完可能。
写真、ドローンレーザー、地上レーザー(据え置き型/移動型)のすべてを統合できれば、屋内外をまたぐ高精度・スケール一貫性のある3Dモデルの作成が可能となります。
2. AIマスキング機能搭載

RealityScan 2.0では、新たにAIマスキング機能が搭載されました。これは、写真から3Dモデルを生成する際に、被写体以外の不要な背景を自動で取り除いてくれる機能です。
画像編集ソフトなどで「背景を削除」という機能は一般的になりつつありますが、RealityScanでも読み込んだ写真から背景を自動で削除し、その画像を用いて目的のオブジェクトだけを切り取った3Dモデルを構築可能になりました。

まずはボタン一つでマスクの作成。1分当たり30枚ほどの早さで画像を処理しています。

マスク画像が出来上がりました。
今回は背景を削除した画像で3DGS(3Dガウシアンスプラッティング)を作成したいので、このマスク画像使って元画像の背景を削除したものを作ります。

この作業を全ての画像に対して行い、実際に3DGSを作成してみます。
完璧です。
3. その他アップデート内容

航空LiDAR対応、AIマスキング機能のほかにも、画像のアライメント精度が向上していたり、スキャン不足を可視化する機能がついていたりとかなり大型のアップデートになっていました。
今後の3Dモデル作成フローに大きな影響を与えることは間違いないでしょう。
RealityScanは年間収益が100万ドルを下回る場合、学生、教育、趣味用途の方、非営利用途の行政機関については無料で使用が可能です。
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弊社のドローン事業部「スカイファイト松本」は、長野県松本市を拠点にドローン測量、構造物点検、各種調査、そして本記事でご紹介したような、ドローンから地上レーザまでフル活用した高精細3Dモデル作成までワンストップで提供するドローン総合企業です。
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