長崎県五島市で2月10日、
住宅地などの有人地帯で目視外飛行(レベル4)を行うドローン配送の実証実験が行われた。
これは、県がドローンサービスに関する国家戦略特区に指定されたことを受けたもので、
沖縄を除く九州では初の試みとなる。
実験を主導したのは、
大手商社「豊田通商」(名古屋市)と、
子会社で五島市に拠点を置く「そらいいな」。
県や長崎大学なども協力し、実証を支援した。
この日は、五島市玉之浦町の診療所にて、
移動診療車とオンライン診療を組み合わせた「モバイルクリニック」で高齢患者を診察。
その後、血圧の薬など数種類の医薬品を、
自動操縦の回転翼ドローンが約3km離れた患者宅まで10分で配送**した。
通常、この診療所では処方薬の配送を看護師が翌日に行っているが、
今回のドローン配送により即時対応が可能になった。
診察を受けた78歳の患者は、
「毎回、看護師さんに申し訳ないと思っていた。
すぐに届くのは本当に助かるし、実用化してほしい」
と期待を寄せる。
「そらいいな」は2022年から、
洋上などの無人地帯を目視外飛行する「レベル3」の配送を固定翼ドローンで実施してきた。
現在は五島列島の中心部と二次離島を結び、
食料品や医薬品の一部を配送しているが、
荷物は人家から離れた場所にパラシュートで投下する方式のため、
回収や管理に人件費がかかるという。
今回の実証実験で、住宅地での直接配送の実現可能性が示された。
「そらいいな」の土屋浩伸配送統括責任者は、
「安全管理にかける人員を最適化し、
実装につなげたい」とコメントしており、
今後の実用化に向けたさらなる検証が期待される。
五島列島をはじめ、医療アクセスが限られた地域でのドローン活用が本格化すれば、
離島や山間部の医療環境が大きく改善される可能性がある。
参考記事
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250211-OYTNT50029/
画像(https://www.yomiuri.co.jp)
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250211-OYTNT50029/