ドローン測量のGNSS補正と現場運用の進化|D-RTK・ネットワークRTKとFJD Trion V1の位置づけ

2025.09.27 | ドローンブログ

1. はじめに

ドローン測量では、撮影した写真やレーザーデータを正しく重ね合わせるために「位置精度」が欠かせません。
座標がずれていれば写真は重ならず、点群は地形と一致しません。成果物の品質を決めるのは、どれだけ正確に位置を測れるかです。

株式会社ASOLAB.では、複数のGNSS関連機材を導入し、現場ごとに最適な使い分けを行ってきました。
ここでは、D-RTK、ネットワークRTK、FJD Trion V1の役割を整理し、現場の運用がどのように進化してきたかを解説します。

2. D-RTK(DJI専用基準局)

D-RTKは、「空を飛ぶドローンを補正するGNSS」です。

  • GNSS受信機を内蔵し、飛行中のドローンにリアルタイム補正を提供
  • 通信環境に依存せず、山間部や災害現場でも即時に利用可能
  • PPKや標定点測量にも対応し、柔軟な運用が可能
  • 特にD-RTK 3では安定性や使いやすさが大幅に改善され、現場での中心的存在になりつつある

3. ネットワークRTK

ネットワークRTKは、通信回線を利用して広域で補正を行う方式です。

  • 全国の基準局ネットワークから補正データを取得
  • 基準局を設置する必要がなく、複数機体での運用に適する
  • 市街地や広域での機動展開に強みを発揮
  • 携帯回線やスターリンクと組み合わせることで安定性を確保

D-RTKとネットワークRTKは排他的に使うのではなく、現場環境によって切り替えて活用します。
遮蔽が多い山間部ではD-RTK、市街地や広域ではネットワークRTKと、相互補完の関係です。

4. FJD Trion V1の位置づけ

株式会社ASOLAB.では、FJD Trion V1は「標定点の設置を行うためのGNSS受信機」として利用してきました。

  • 基準点のない現場でも標定点を確実に設置できる
  • 公共測量では必須ではないものの、現場条件に応じて活用可能
  • PPK(後処理)にも利用可能だが、当社では主にD-RTKを用いている

FJD Trion V1の意義は、基準点のない現場で標定点を設置できる点にあります。
一方で、D-RTK 3の登場により標定点設置も容易になったため、単体GNSS受信機の出番は少しずつ減ってきています
それでも、現場の条件次第では重要な選択肢となる機材であることに変わりはありません。

コラム:写真測量とレーザー測量における座標の役割

同じ「座標精度」といっても、写真測量とレーザー測量では役割が少し異なります。

  • 写真測量:空撮写真を正しく組み合わせるための“枠”として座標が必要。
  • レーザー測量:取得した点群を地球上の正しい場所に配置する“ラベル”として座標が必要。

いずれも座標の正確さが成果物の品質を左右しますが、求める座標の使い方が異なることを押さえておくと、方式の選択や現場設計がより的確になります。

5. 現場での使い分け

  • 遮蔽が多い山間部・災害現場 → D-RTK
  • 市街地や複数現場を素早く回る場合 → ネットワークRTK
  • 基準点・標定点を設置したい場合 → FJD Trion V1
  • 安定化・バックアップ → PPKを組み合わせて運用

6. まとめ

D-RTK 3やネットワークRTKの進化により、リアルタイム補正の利便性と安定性は格段に高まりました。
一方で、FJD Trion V1のような単体GNSS受信機も、標定点設置という場面では今も有効な役割を持っています。

ASOLABでは、新しい機材を積極的に取り入れつつ、従来の機材も補完的に活用することで、現場に最適な測量運用を追求しています。

株式会社ASOLAB.は、D-RTKやネットワークRTKをはじめとした最新環境を活用し、安定したドローン測量をご提供しています。
ドローン測量や高精度なデータ取得に関心のある企業・自治体の方は、まずはお気軽にご相談ください。