ドローン操縦資格|レベル3.5飛行とDIPS 2.0申請【2025年最新版】

2025.10.08 | ドローンブログ

ドローンの飛行ルールは「レベル1〜4」に区分されています。
このうちレベル3は、無人地帯で補助者を配置して行う目視外飛行が可能な飛行レベルです。

建設測量や点検、災害調査などでは、このレベル3で十分に対応できます。
一方で、物流などの分野では、補助者を置くことが大きな負担となっていました。

そこで登場したのが「レベル3.5」。
この記事では、レベル3.5の位置づけと制度のポイントを、2025年3月施行の最新制度に基づいて解説します。

1. レベル3.5とは?

レベル3.5は、無人地帯で補助者を置かずに目視外飛行を行うための制度です。
カメラやセンサーで安全を確認できることが前提となります。

従来のレベル3では、補助者や看板などによる立入管理が必須でした。
レベル3.5では、それらを技術によって代替することが認められました。

さらに、条件を満たせば道路・鉄道・船舶など移動車両の上空を一時的に横断することも可能です。
この点が、ドローン物流を実現するための重要な一歩です。

ただし、歩行者などが存在する有人地帯上空の飛行は認められていません。
レベル3.5はあくまで、無人地帯で安全を技術的に確認できることを前提としています。

2. 制度が生まれた背景 — 物流実現のための中間ステップ

レベル3.5は、ドローン物流の社会実装を進めるために設けられました。
広域での物資輸送では、補助者の配置が人員的にも費用的にも大きな課題となっていたためです。

近年は、カメラ・センサー・AIによる検知など、
人の目に代わる安全確認技術が急速に発展しています。
こうした技術を活かし、人に頼らず安全を確保する運用として誕生したのがレベル3.5です。

飛行範囲を広げる制度ではなく、安全確認の方法を変える制度
その先には、有人地帯上空を飛行するレベル4への段階的なステップがあります。

3. 必要な資格と手続き

レベル3.5飛行には、国家資格(一等または二等)+目視外飛行の限定変更が必要です。
夜間運用を行う場合は、夜間飛行の限定変更も追加で求められます。

個別申請と「運航概要宣言書」

レベル3.5は包括申請ができず、経路や環境を特定した個別申請が原則です。
2025年3月24日施行の制度改正により、
申請には「運航概要宣言書」の提出と「DIPS 2.0」でのオンライン申請が必須になりました。

運航概要宣言書では、
事業者が「飛行に必要な要件を満たしている」ことを自ら確認・宣言します。
飛行計画、安全体制、保険加入状況などを明示する内容です。

手続きの流れ

事前相談 → 運航概要宣言書提出 → 管理番号の付与 → DIPS 2.0申請 → 承認

メーカーの技術資料の添付、飛行マニュアル、点検・記録体制の整備も求められます。
レベル3.5の申請は、レベル3に比べて手間が増える分、安全確認の裏付けも重視される点が特徴です。

4. 現場との関係

結論からいえば、多くの現場ではレベル3のままで十分対応できます。
レベル3.5は物流を想定した制度であり、
建設・測量・点検などではまだ実用例が限られます。

ただし、国が正式に定めた制度である以上、
将来的には「レベル3.5対応」を求める発注元や自治体が現れる可能性があります。

今すぐ導入が必要なわけではありませんが、
制度の内容を理解しておくことが、将来の準備につながります。

5. 対応機種

Matrice 400 RTKとFlyCart 30

レベル3.5は型式認証を必要としません。
ただし、メーカーが申請用技術資料を提供している機体が前提です。

DJIではレベル3.5対応資料を提供しており、対象機体は次のとおりです。

  • 産業機:Matrice 350 RTK、Matrice 400 RTK、M30シリーズ
  • 業務小型:Mavic 3E / 3T / 3M
  • 物流機:FlyCart 30

いずれも国の指定機ではなく、DJIが申請支援を行う対象機です。
最新情報はメーカー公式サイトで確認するのが確実です。

6. 主な活用シーン(物流分野)

レベル3.5の主な活用分野は、物流や支援活動です。

具体的には、次のようなケースが想定されています。

  • 離島・山間部での生活物資や医薬品の輸送
  • 災害時の緊急物資搬送や通信補助
  • 工事・山岳エリアでの資材搬送
  • 自治体主導の地域物流実証

これらはいずれも、無人地帯で移動車両上空を安全に横断する必要が出てくる飛行です。
レベル3.5は、そうした場面で安全を確保しながら飛行を可能にするために設計されています。

今後、こうした物流実証の積み重ねが、
レベル4(有人地帯上空飛行)への橋渡しになると期待されています。

7. まとめ

レベル3.5飛行は、ドローン物流の社会実装を目的とした制度です。
補助者をなくすためではなく、技術で安全を担保しながら運用の幅を広げる仕組みといえます。

建設・測量・点検分野では、いまのところレベル3で十分対応可能ですが、
制度の理解は、将来の制度改正や災害対応への備えにもつながります。

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