ドローンのバッテリー管理というと、
多くの方がまず思い浮かべるのは「機体側のフライトバッテリー」ではないでしょうか。
一方で、意外と後回しにされがちなのが、送信機(プロポ)のバッテリー管理です。
本記事では、
送信機のバッテリーはどこまで管理すべきかを整理し、
インテリジェントフライトバッテリーとの違いを踏まえた
実務で無理のない運用の考え方をまとめます。
1. 送信機のバッテリーは「インテリジェントフライトバッテリー」ではない
まずよく聞かれる質問です。
送信機のバッテリーも、
インテリジェントフライトバッテリーと同じ管理が必要ですか?
結論から言うと、
送信機のバッテリーはインテリジェントフライトバッテリーには該当しません。
DJI機体に搭載されるインテリジェントフライトバッテリーは、
内部にCPU(制御チップ)を持ち、
- セルバランス管理
- 充放電状態の監視
- 温度・電圧の制御
- 長期保管時の自己放電
といった機能により、
飛行安全を前提とした高度な管理が行われています。
一方、送信機(RC/RC Pro/RC Plus など)のバッテリーは、
内蔵型のリチウムイオン電池が一般的で、
残量管理を中心としたシンプルな構造です。
同じリチウム電池ではありますが、
役割と設計思想が異なります。
2. 管理の「考え方」は共通、でも「厳密さ」は同じでなくていい
送信機のバッテリーもリチウム電池のため、
基本的な安全管理の考え方はフライトバッテリーと共通です。
共通して意識したいポイントは以下です。
- 高温・直射日光を避ける
- 長期間使わないまま放置しない
- 0%まで使い切らない
- 異常発熱や挙動があれば使用を控える
一方で、
フライトバッテリーほど厳密に管理しなくてよい点もあります。
- 保管残量を40〜65%に正確に合わせる必要はない
- セルバランスやサイクル回数を追いかける必要はない
- 定期的なキャリブレーションは不要
つまり、
同じ考え方で扱ってよいが、同じルールを当てはめる必要はない
という位置づけです。
3. 実務でちょうどいい送信機バッテリー管理ライン

実際の業務・講習・点検を踏まえると、
送信機のバッテリー管理は次のレベル感が現実的です。
使用前
- 残量50%以上を目安に確認
- 長時間業務や講習では余裕を持つ
使用後
- 毎回必ず満充電にする必要はない
- 次回使用まで期間が空く場合は、7〜8割程度でも問題なし
保管
- 高温になる場所(車内・直射日光)を避ける
- 月1回程度、電源を入れて動作確認
フライトバッテリーのように神経質になりすぎるより、
「切れない・止まらない」ことを優先した管理が重要です。
4. 誤解と注意点
こんな考え方を聞いたことがあります。
「送信機が落ちても、
フェイルセーフで機体は戻ってくるから大丈夫」
確かに多くの機体には
RTHなどの安全機能があります。
ただし、
- 操縦不能な状態になる
- 講習や業務が中断する
- 状況によっては想定外の挙動になる
といったリスクは残ります。
送信機のバッテリー切れは
安全面だけでなく、業務・段取りのリスクにも直結します。
5. フライトバッテリー管理との役割の違い
ここで、改めて整理します。
- インテリジェントフライトバッテリー
→ 飛行安全・寿命・発火リスクを最優先にした管理 - 送信機のバッテリー
→ 運用の安定性・現場トラブル防止を目的とした管理
どちらも重要ですが、
求められる管理の質が違うという点がポイントです。
フライトバッテリーの記事とあわせて読むことで、
バッテリー管理全体の整理がしやすくなります。
おわりに
送信機のバッテリーは目立たない存在ですが、
切れてしまうと現場が止まります。
フライトバッテリーほど厳密な管理は不要ですが、
最低限の確認と習慣づけが、
結果的に安全性と作業効率を支えます。
「難しい管理は続かない」
だからこそ、
現実的で続けられる管理を意識していきたいところです。
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