ドローン送信機(プロポ)のバッテリー管理|インテリジェントフライトバッテリーとの違いと実務の考え方

2025.12.15 | ドローンブログ

ドローンのバッテリー管理というと、
多くの方がまず思い浮かべるのは「機体側のフライトバッテリー」ではないでしょうか。

一方で、意外と後回しにされがちなのが、送信機(プロポ)のバッテリー管理です。

本記事では、
送信機のバッテリーはどこまで管理すべきかを整理し、
インテリジェントフライトバッテリーとの違いを踏まえた
実務で無理のない運用の考え方をまとめます。

1. 送信機のバッテリーは「インテリジェントフライトバッテリー」ではない

まずよく聞かれる質問です。

送信機のバッテリーも、
インテリジェントフライトバッテリーと同じ管理が必要ですか?

結論から言うと、
送信機のバッテリーはインテリジェントフライトバッテリーには該当しません。

DJI機体に搭載されるインテリジェントフライトバッテリーは、
内部にCPU(制御チップ)を持ち、

  • セルバランス管理
  • 充放電状態の監視
  • 温度・電圧の制御
  • 長期保管時の自己放電

といった機能により、
飛行安全を前提とした高度な管理が行われています。

一方、送信機(RC/RC Pro/RC Plus など)のバッテリーは、
内蔵型のリチウムイオン電池が一般的で、
残量管理を中心としたシンプルな構造です。

同じリチウム電池ではありますが、
役割と設計思想が異なります。

2. 管理の「考え方」は共通、でも「厳密さ」は同じでなくていい

送信機のバッテリーもリチウム電池のため、
基本的な安全管理の考え方はフライトバッテリーと共通です。

共通して意識したいポイントは以下です。

  • 高温・直射日光を避ける
  • 長期間使わないまま放置しない
  • 0%まで使い切らない
  • 異常発熱や挙動があれば使用を控える

一方で、
フライトバッテリーほど厳密に管理しなくてよい点もあります。

  • 保管残量を40〜65%に正確に合わせる必要はない
  • セルバランスやサイクル回数を追いかける必要はない
  • 定期的なキャリブレーションは不要

つまり、
同じ考え方で扱ってよいが、同じルールを当てはめる必要はない
という位置づけです。

3. 実務でちょうどいい送信機バッテリー管理ライン

実際の業務・講習・点検を踏まえると、
送信機のバッテリー管理は次のレベル感が現実的です。

使用前

  • 残量50%以上を目安に確認
  • 長時間業務や講習では余裕を持つ

使用後

  • 毎回必ず満充電にする必要はない
  • 次回使用まで期間が空く場合は、7〜8割程度でも問題なし

保管

  • 高温になる場所(車内・直射日光)を避ける
  • 月1回程度、電源を入れて動作確認

フライトバッテリーのように神経質になりすぎるより、
「切れない・止まらない」ことを優先した管理が重要です。

4. 誤解と注意点

こんな考え方を聞いたことがあります。

「送信機が落ちても、
フェイルセーフで機体は戻ってくるから大丈夫」

確かに多くの機体には
RTHなどの安全機能があります。

ただし、

  • 操縦不能な状態になる
  • 講習や業務が中断する
  • 状況によっては想定外の挙動になる

といったリスクは残ります。

送信機のバッテリー切れは
安全面だけでなく、業務・段取りのリスクにも直結します。

5. フライトバッテリー管理との役割の違い

ここで、改めて整理します。

  • インテリジェントフライトバッテリー
    → 飛行安全・寿命・発火リスクを最優先にした管理
  • 送信機のバッテリー
    → 運用の安定性・現場トラブル防止を目的とした管理

どちらも重要ですが、
求められる管理の質が違うという点がポイントです。

フライトバッテリーの記事とあわせて読むことで、
バッテリー管理全体の整理がしやすくなります。

おわりに

送信機のバッテリーは目立たない存在ですが、
切れてしまうと現場が止まります。

フライトバッテリーほど厳密な管理は不要ですが、
最低限の確認と習慣づけが、
結果的に安全性と作業効率を支えます。

「難しい管理は続かない」
だからこそ、
現実的で続けられる管理を意識していきたいところです。

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