DIPS2.0 には
・申請側(飛行許可・操縦者設定)
・登録側(機体登録システム/DRS)
という2つの仕組みがあります。
前回の記事では申請側の「3つの機体一覧」を整理しました。
今回は 登録側(DRS)にある機体一覧と、申請側にどう影響するのか を実務視点でまとめます。
1.登録側(DRS)とは?|目的と扱う情報



登録側(DRS)は “無人航空機の登録制度” に基づき、
国に対して機体情報・所有者情報を登録する場所 です。
扱う主な情報は次のとおり:
- 所有者情報(氏名/法人名・住所)
- 機体識別情報(型式・製造番号・製造者名 など)
- 登録記号(例:JX-xxxx)
- 使用者情報(その機体を使う個人・企業)
- 提供設定(他アカウントへ使用権を付与)
申請側との役割の違い
登録側(DRS):機体の“台帳”と“身元情報”を管理
申請側(DIPS):その機体で飛行許可を取るための“運用管理”
申請側は 運用、
登録側は 機体情報の原本管理 という関係です。
2. 登録側に存在する4つの“機体一覧”
登録側には次の一覧があります:
所有機体一覧(所有者アカウントが管理)

そのアカウントが「所有者」として登録している機体が並びます。
識別情報(型式・製造番号等)はここで確認できます。
使用者一覧

その機体を使う個人を管理します。
(※ここで登録した使用者は提供先アカウントとは異なります)
使用者と提供先アカウントとの違い
| 項目 | 位置 | 申請側への影響 | 関係性 |
|---|---|---|---|
| 使用者(DRS) | 機体登録システム | 直接影響なし | 単なる登録情報 |
| 提供先アカウント(DIPS) | 申請側(使用権の付与) | 表示・申請可否に直接影響 | “使用権を渡す”操作 |
検索画面(登録記号/使用者で検索)
他者から提供された機体を含めて検索可能
提供先アカウントに表示される「提供済み機体一覧」
飛行許可・承認メインメニュー>無人航空機情報の登録・変更>他アカウントへ提供中の機体情報の参照・解除
他アカウントに提供している機体を一覧化。
申請側から見える機体はここを経由します。
➡ 申請側の②③(機体マスタ/操縦者紐づけ)は、この「提供済み機体一覧」に依存しています。
3. 申請側に影響する「変更できない項目」と再提供が必要なケース
登録側(DRS)で行う変更には、申請側に影響するものが大きく分けて2つあります。
- 再登録(DRS側)
機体識別情報を変更した結果、新しい登録番号が発行されるもの。
→ 旧機体とは別扱いとなり、申請側(②③)に表示されなくなる。 - 再提供(申請側へ)
所有者情報の変更や提供解除などにより、申請側から見えなくなるもの。
→ 所有者側が再度「情報提供」を行う必要がある。
以下の表は、登録側のどの項目を変更すると 申請側の②③に影響が出るのか をまとめたものです。
| 画面表示項目 | 区分 | 変更時の扱い |
|---|---|---|
| 型式名 | 機体識別情報 | 再登録が必要 → 新しい登録記号になる → 申請側一覧から外れる |
| 製造番号 | 機体識別情報 | 再登録が必要 → 同上 |
| 製造者名 | 機体識別情報 | 再登録が必要→ 同上 |
| 機体の種類 | 機体識別情報 | 再登録が必要→ 同上 |
| 登録記号 | 機体識別そのもの | 変更不可(新規登録扱い) |
| 所有者 | 機体登録の主体 | 提供解除 → 申請側一覧から消える |
| 使用者 | 管理情報 | 再提供が必要な場合あり |
4. 申請側に影響がない機体登録の変更
- 担当者名
- 担当者の電話番号・メールアドレス
- 使用者(飛行者)情報
- リモートID関連の状態(書込済/未実施 等)
- 改造の有無(軽微な変更)
ただし、誤った担当者情報は
提供先に反映されない / 申請側アカウントと整合しない
など、実務の混乱につながるため注意が必要です。
5. 登録側を整理しておくと申請がスムーズな理由
① 申請側(②③)への反映が正確になる
- 登録側が乱れていると “②に出ない機体” が頻発します。
② 再登録の影響を把握できる
- 識別情報を触ると申請側の機体一覧が変わるため、
運用中の許可申請に影響がでる前に判断できる。
③ 提供アカウントとの整合性がとれる
- 会社アカウント → 個人アカウントへの提供が綺麗に管理できる。
6. 実務で迷ったときのチェックポイント(登録側)
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 変更したい情報は識別情報(型式・製造番号・製造者名・機体種別)か | 再登録(新しい登録記号) が必要 |
| 所有者が変わっていないか | 変わったら 提供が外れる → 申請側に再提供が必要 |
| 使用者情報は最新か | 変更後に申請側一覧へ表示されているか確認 |
| 提供設定は有効か | 外れていれば再提供が必要 |
7. まとめ
- 登録側(DRS)は 機体の識別情報と所有者情報を国に登録する場所
- 識別情報は変更できず、変更=再登録(登録番号が変わる)
- 再登録すると提供設定が消え、申請側一覧からも外れる
- 担当者情報の変更は影響なし(ただし反映チェックは必要)
- 登録側の整理が申請側の②③の正確性につながる
一覧が揃わない原因の“半分”は登録側にある
これを理解しておくと、現場の混乱が大幅に減ります。
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