ドローン運用で欠かせない DIPS2.0。
許可申請や操縦者設定をしていると、
「画面ごとに機体一覧が違う……?」
と感じることはありませんか。
実は、DIPSには
・申請側(飛行許可・操縦者設定)
・登録側(機体登録・所有者情報)
という別々の仕組みがあり、一覧が揃わないのは正常な動きです。
本記事では、申請側で使う3つの機体一覧に絞って整理します。
※登録側(機体登録システム)については、別記事で解説予定です。
1. DIPSに存在する3つの主要な“機体一覧”
DIPSでは、機体一覧と呼ばれるものが複数存在します。
まずは、この3つを押さえておくと理解がスムーズです。
① 許可・承認書の別紙「承認されている機体一覧」

飛行許可・承認申請を行った際に発行される、
別紙として添付される一覧です。
これは 「申請を作成した時点」のスナップショット であり、
発行後に機体を削除・名称変更しても反映されません。
あくまで “その許可書を作った時の記録” です。
② DIPS「無人航空機情報の登録・変更」で表示される機体一覧

飛行許可・承認申請に利用できる、
最新の“申請用機体マスタ一覧” です。
- 自分のアカウントで登録した機体
- 他アカウントから「情報提供」された機体
これらがまとめて一覧化されます。
③ 操縦者情報 > 飛行可能機体一覧

操縦者ごとに表示される一覧で、
その操縦者が飛行申請に利用できる機体を管理します。
追加・削除は自由にできます。
③は“操縦者と機体の紐づけ”であり、
機体登録や許可履歴そのものには影響しません。
2. 一覧が“合わなくてよい”理由(仕様と実務の構造)
DIPSはそれぞれ役割が異なるため、
一覧の内容が完全一致する必要はありません。
①は「過去の記録」
別紙は、作成時点で固定されるため、
以降の機体更新・削除が反映されません。
現在の運用とは一致しないのが正常です。
②は「今、申請に使える機体」
最新の運用に合わせて追加・削除されます。
申請作成時の基準となる一覧です。
※なお、機体登録(DRS)側で所有者・登録内容を変更すると、
②(申請用機体一覧)から外れる場合があります。
その場合は、提供元による“再提供”が必要です。
【登録側の仕組みURL埋め込み】
③は「その操縦者が扱う機体」
②を参照しますが、操縦者に紐づけていなければ表示されません。
操縦者別に内容が異なって当然です。
つまり、
3つの一覧は役割が違うため“揃うほうが例外” というのが実務上の正解です。
3. 揃える必要がある一覧・揃えなくてよい一覧
揃える必要があるもの

揃える必要があるのは「② 無人航空機情報の登録・変更」と「③ 操縦者の飛行可能機体一覧」です。
理由は、この2つが「現在の申請」と「現在の運用」に直結する一覧だからです。
- ②は、そのアカウントで“申請に使える最新の機体マスタ”
- ③は、操縦者ごとに“実際に飛行できる機体”を設定する場所であり、②を参照している
そのため、不要になった古い紐づけや、過去に設定したままの機体が③に残っていると、
申請時に誤選択が起きたり、説明が煩雑になります。
実務では、操縦者画面の一覧を削除し、プルダウンに出る最新の②に揃えることで、
誤操作を防ぎ、スッキリした状態で運用できます。
揃えなくてよいもの

揃えなくてよいのは「① 許可・承認書の別紙『承認されている機体一覧』」です。
別紙は “その許可申請を提出した時点” のスナップショットとして固定されるため、
申請後に機体情報を変更しても、別紙が自動で修正されることはありません。
そのため、現在の②や③と内容が一致しなくても問題ありません。
別紙はあくまで「その時点で許可した機体の記録」であり、
運用上は②・③の最新状態が基準になります。
4. 例外(揃えておくべきケース)
基本的には一覧が揃っていなくても問題ありませんが、
以下のケースでは一致させておくほうが安全です。
・許可書の内容を第三者に提示する場面(委託業務・現地調整など)
委託先や関係機関が
「許可書に載っている機体で飛行する」
と理解するケースがあります。
最新運用と別紙が大きく乖離している場合、
機体説明時に誤解を生むことがあります。
・機体が大量にあり、社内で“誰がどの機体を使えるか”を共有する必要がある場合
申請担当と操縦者が複数人いる場合、
②と③を整えておかないと管理負担が増えます。
・自治体・企業案件で「機体リスト」を提出する場面
許可書の別紙内容をベースに求められることがあり、
その場合は最新情報と整合性を取っておくほうがスムーズです。
5. 実務で迷った時のチェックポイント
- 登録記号で照合する
どの一覧にも共通している唯一の基準です。 - 所有アカウントと情報提供状況を確認する
提供解除されると③に出なくなります。 - ②に存在しない機体は新規申請に使えない
削除した機体は③にも再追加できません。 - ③の削除・再登録は安全
操縦者の紐づけなので、自由に整理できます。
6. まとめ
- DIPSには複数の“機体一覧”があり、
それぞれ役割が違うため一致しないのが普通。 - 実務上揃えるべきは ②(機体マスタ)と ③(操縦者紐づけ)。
- ①(許可書別紙)は運用とずれていても問題ない。
- 運用・申請の混乱を防ぐためには、
②と③を整えておくことが重要。
DIPSは長く使うほど機体数・履歴が増え、一覧も複雑になります。
この記事が整理のヒントになれば幸いです。
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関連記事:登録側(機体登録・所有者情報)の機体一覧
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