ドローン×SDK活用入門|できること・対応機種・活用の方向性

2025.11.04 | ドローンブログ

ドローン活用は、操縦や撮影だけでなく、業務の効率化やDXを見据えた運用へと広がっています。
その中でも、今後のドローン活用を大きく前進させる可能性がある技術が SDK(Software Development Kit) です。

SDKを活用することで、ドローン運用の自動化やシステム連携が進み、これまで人が担ってきた作業や判断をサポートできるようになります。
本記事では、SDKの基本とAPIとの関係、ドローンでできること、対応機種、活用の方向性をわかりやすく整理します。

1.SDKとは?まずは基本を整理

SDK(Software Development Kit) とは、ソフトウェアやアプリケーションを開発するためのツール一式です。
ライブラリ、API、サンプルコード、マニュアルなどが含まれており、SDKを活用することで効率的にアプリ開発が行えます。

一般的な定義

用語役割一言でいうと
SDK開発に必要なツール一式(APIやサンプルコード等を含む)アプリ開発のスターターセット
API外部サービスや機器と連携する仕組み機能へアクセスする“接続窓口”

ドローンで活用する場合のイメージ

SDK:ドローンの自動飛行やデータ活用を行うアプリを開発する際に用いる開発キット
API:アプリとドローンを接続し、操作やデータ連携を可能にする仕組み

ポイント:SDKの中にAPIが含まれており、両者はセットで活用されます。

2.SDKでドローンは何ができるのか?

SDKを活用すると、ドローン運用は自動化・効率化・高度化が可能になります。
特に、定期業務の標準化や属人化解消に大きな効果を発揮します。

自動飛行の実装

  • 航路設定、離着陸、撮影タイミング、帰還動作をプログラム化
  • 定期巡回・施設管理・警備など、再現性の高い飛行が可能
  • 夜間や危険エリアでも安全に運用でき、人のリスクが低減

データ取得と処理の自動化

  • 写真/動画/サーマル/位置情報を自動取得
  • クラウドや社内システムに自動連携
  • 点検画像の整理、AI解析、報告書作成まで自動化できる

自社専用アプリの開発

  • 点検支援アプリ(撮影指示→整理→レポート化)
  • 災害監視・巡回システム(異常検知→自動通知)
  • 設備台帳と紐づけた保全管理アプリ

SDK=自社業務に合わせた“ドローンDX”を実現する基盤技術

3.SDK対応ドローン(導入しやすい主要モデル)

SDK活用を前提とした機体選定では、まず以下のモデルが候補になります。

機種SDK対応特徴主な用途
Mavic 3 Enterprise(M3E)Mobile SDK対応高精度と運用性のバランスが良く、初導入に最適測量、点検、災害調査
Mavic 3 Thermal(M3T)Mobile SDK対応可視+サーマルでのデータ活用に最適外壁・太陽光点検、施設巡回、防犯
Matrice 30 / 30TMobile/Cloud/Pilot SDK対応アプリ統合がしやすく、自治体や企業導入が増加警備、災害、インフラ管理
Matrice 350 RTKOnboard/Payload SDK対応本格業務向け。拡張性・カスタム性が高いインフラ点検、大規模測量、長期運用

P4 RTKはSDK制約が多く、SDK活用前提ならM3E/M3Tが推奨。

4.SDK活用の導入効果と活用例

SDKによる自動化・連携により、次のような業務改善が期待できます。

分野活用例主な効果
建物・設備点検DX自動飛行→撮影→AI解析→レポート生成作業時間削減、品質均一化、属人化解消
災害・監視・巡回定期巡回の自動化、河川・山間監視安全性向上、人手不足対策
測量・CIM連携点群・モデル生成→BIM/CIMへ自動反映更新サイクル短縮、工期短縮
社内専用アプリ開発現場に最適化したワークフロー実装DX推進、業務標準化

5.SDK活用の進め方

  1. 目的を明確化(点検DX/巡回/測量など)
  2. SDK対応機体の選定(初期導入はM3E/M3Tが最適)
  3. 既存アプリ活用 or 自社開発を決定
     ┗ まずは低コストの既存アプリ → 成果確認後に自社開発へ
  4. 小規模PoCで検証し、段階的にスケール

まとめ

  • SDKはドローン×業務DXの中核技術
  • SDKの中にAPIが含まれ、アプリ連携・自動化が可能
  • 初期導入は M3E/M3T が最もバランスが良く、拡張は Matriceシリーズ
  • 今後のドローン活用は、機体性能 × ソフト活用力 が企業の競争力を左右する

SDKを活用した自動化やドローンDXの領域は、これからますます広がっていく分野です。
今後の動きにも注目しながら、活用の可能性を探っていきたいと思います。

株式会社ASOLAB.では、SDKを活用したドローン運用の設計や、点検・巡回・測量業務への導入支援も行っております。
「SDKを活用したドローン運用を検討したい」「自社業務にどのように導入できるか相談したい」などございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。