ドローン活用は、操縦や撮影だけでなく、業務の効率化やDXを見据えた運用へと広がっています。
その中でも、今後のドローン活用を大きく前進させる可能性がある技術が SDK(Software Development Kit) です。
SDKを活用することで、ドローン運用の自動化やシステム連携が進み、これまで人が担ってきた作業や判断をサポートできるようになります。
本記事では、SDKの基本とAPIとの関係、ドローンでできること、対応機種、活用の方向性をわかりやすく整理します。
1.SDKとは?まずは基本を整理
SDK(Software Development Kit) とは、ソフトウェアやアプリケーションを開発するためのツール一式です。
ライブラリ、API、サンプルコード、マニュアルなどが含まれており、SDKを活用することで効率的にアプリ開発が行えます。
一般的な定義
| 用語 | 役割 | 一言でいうと |
|---|---|---|
| SDK | 開発に必要なツール一式(APIやサンプルコード等を含む) | アプリ開発のスターターセット |
| API | 外部サービスや機器と連携する仕組み | 機能へアクセスする“接続窓口” |
ドローンで活用する場合のイメージ
SDK:ドローンの自動飛行やデータ活用を行うアプリを開発する際に用いる開発キット
API:アプリとドローンを接続し、操作やデータ連携を可能にする仕組み
ポイント:SDKの中にAPIが含まれており、両者はセットで活用されます。
2.SDKでドローンは何ができるのか?
SDKを活用すると、ドローン運用は自動化・効率化・高度化が可能になります。
特に、定期業務の標準化や属人化解消に大きな効果を発揮します。
自動飛行の実装
- 航路設定、離着陸、撮影タイミング、帰還動作をプログラム化
- 定期巡回・施設管理・警備など、再現性の高い飛行が可能
- 夜間や危険エリアでも安全に運用でき、人のリスクが低減
データ取得と処理の自動化
- 写真/動画/サーマル/位置情報を自動取得
- クラウドや社内システムに自動連携
- 点検画像の整理、AI解析、報告書作成まで自動化できる
自社専用アプリの開発
- 点検支援アプリ(撮影指示→整理→レポート化)
- 災害監視・巡回システム(異常検知→自動通知)
- 設備台帳と紐づけた保全管理アプリ
SDK=自社業務に合わせた“ドローンDX”を実現する基盤技術
3.SDK対応ドローン(導入しやすい主要モデル)
SDK活用を前提とした機体選定では、まず以下のモデルが候補になります。
| 機種 | SDK対応 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| Mavic 3 Enterprise(M3E) | Mobile SDK対応 | 高精度と運用性のバランスが良く、初導入に最適 | 測量、点検、災害調査 |
| Mavic 3 Thermal(M3T) | Mobile SDK対応 | 可視+サーマルでのデータ活用に最適 | 外壁・太陽光点検、施設巡回、防犯 |
| Matrice 30 / 30T | Mobile/Cloud/Pilot SDK対応 | アプリ統合がしやすく、自治体や企業導入が増加 | 警備、災害、インフラ管理 |
| Matrice 350 RTK | Onboard/Payload SDK対応 | 本格業務向け。拡張性・カスタム性が高い | インフラ点検、大規模測量、長期運用 |
※ P4 RTKはSDK制約が多く、SDK活用前提ならM3E/M3Tが推奨。
4.SDK活用の導入効果と活用例
SDKによる自動化・連携により、次のような業務改善が期待できます。
| 分野 | 活用例 | 主な効果 |
|---|---|---|
| 建物・設備点検DX | 自動飛行→撮影→AI解析→レポート生成 | 作業時間削減、品質均一化、属人化解消 |
| 災害・監視・巡回 | 定期巡回の自動化、河川・山間監視 | 安全性向上、人手不足対策 |
| 測量・CIM連携 | 点群・モデル生成→BIM/CIMへ自動反映 | 更新サイクル短縮、工期短縮 |
| 社内専用アプリ開発 | 現場に最適化したワークフロー実装 | DX推進、業務標準化 |
5.SDK活用の進め方
- 目的を明確化(点検DX/巡回/測量など)
- SDK対応機体の選定(初期導入はM3E/M3Tが最適)
- 既存アプリ活用 or 自社開発を決定
┗ まずは低コストの既存アプリ → 成果確認後に自社開発へ - 小規模PoCで検証し、段階的にスケール
まとめ
- SDKはドローン×業務DXの中核技術
- SDKの中にAPIが含まれ、アプリ連携・自動化が可能
- 初期導入は M3E/M3T が最もバランスが良く、拡張は Matriceシリーズ
- 今後のドローン活用は、機体性能 × ソフト活用力 が企業の競争力を左右する
SDKを活用した自動化やドローンDXの領域は、これからますます広がっていく分野です。
今後の動きにも注目しながら、活用の可能性を探っていきたいと思います。
株式会社ASOLAB.では、SDKを活用したドローン運用の設計や、点検・巡回・測量業務への導入支援も行っております。
「SDKを活用したドローン運用を検討したい」「自社業務にどのように導入できるか相談したい」などございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

